営業成績向上の事例(2)コーチング・セッション

以下のような内容のコーチングが行われました。3回のセッションで話した内容のポイントをダイジェストでまとめています。

 

コーチ :上野さん、それではよろしくお願い致します。まず初めに、どのようなことをこのコーチングのテーマとされたいですか?

上野さん:よろしくお願いします。転職をして1年くらい経つのですが、営業成績が伸び悩んでいます。なんとか営業成績を上げたいと思っているのですが・・・

コーチ :なるほど営業成績を伸ばしたいのですね。もう少し詳しくお話を聞かせてもらえますか?

上野さん:はい。私は前職で金貸しをやっていました。少し乱暴な仕事をしていたところもありましたが、営業成績は良かったです。今の仕事は金貸しではないですが、企業の信用情報に関係するという所は前職と似通っています。なので、営業マンとしてすぐにトップクラスの成績を出せると思っていたんです。ところが実際は・・・営業成績が悪いというほどでは無いのですが、トップクラスとは言えないレベルです。どうもこのまま続けていても駄目なんじゃないかと最近不安に思うようになりました。また、不安な気持ちがあると営業にも影響があるようで、どんどん成績が下がってきているような感じです

コーチ :なるほど、営業には自信があったのに成績が伸び悩んでいるのですね。それでは、商品である情報を売る目的は何か教えてください

上野さん:目的は情報を売って利益を出すことです

コーチ :ええ、ではその利益を出す目的はなんでしょうか?意義といった方が良いでしょうか?

上野さん:それは、取引先が倒産したりして、お客さんに貸し倒れが発生するのを防止する為です。一方で、財務内容の良い取引先にはどんどん販売して利益を最大化してもらうのです。「貸し倒れを減らし、財務内容の良い先への販売を増やすことで収益を最大化する」ということです

コーチ :「貸し倒れを減らし、財務内容の良い先への販売を増やすことで収益を最大化する」ですか。いいですね。言葉に力を感じます。信念があるんですね。では、上野さん自身のゴールや目標を設定するとしたらどのようなものが考えらえますか?

上野さん:営業成績なので売上でもいいのですが・・・社内でトップクラスの営業マンになるのが自分のゴールだと思っています。月間ランキングで5位以内に入りたいと思います

コーチ :わかりました。「月間ランキングで5位以内に入る」ですね。いつまでに達成しましょうか?

上野さん:まあ、早い方がいいですが、半年以内とします

コーチ :では、ゴールは「半年以内に月間ランキングで5位以内に入る」ということですね。現状について教えてください

上野さん:はい。現在の営業成績は中の下くらい、順位で言うと30位くらいをウロウロしています

コーチ :なるほど、中の下ですね。現在の営業手法についてお伺いできますか?

上野さん:はい。まずは担当の見込み顧客リストに電話して、アポ(アポイントメント・面談)を依頼します。アポが取れた先に訪問して、サービス内容をパンフレットを使って紹介します。その日のうちに契約が取れることはまずないので、その日の感触の悪くない先に対して後日フォローアップの電話をして感触を探ります。上手く行けばそこで確約、場合によっては再度訪問の上で詳細説明をすることもあります

コーチ :なるほど。電話でアポを取得して、訪問、フォローアップと続くのですね。このプロセスのどこに改善の余地があると思いますか?

上野さん:前職の経験が活かせていて、電話でのアポ取得率は周囲に比べて高いと思っています。ですから、訪問時の説明でぐっと顧客を引き付けることができていないのかもしれません

コーチ :「ぐっと顧客を引き付ける」ですね。ちょっと私に向かって営業してもらえませんか?

上野さん:ここでですか?

コーチ :はい

上野さん:分かりました。・・・えー、お時間頂きありがとうございます。それでは、こちらのパンフレットで弊社サービスのご紹介をさせていただきます。弊社のサービスの特徴は大きく3つあり・・・(中略)・・・といった感じです

コーチ :ありがとうございました。上野さん、上野さんが顧客の立場だったら、今の説明をどう思われますか?

上野さん:今の説明ですか?・・・何かぐっと引き付けるものはありませんね。機械的というか・・・

コーチ :「貸し倒れを減らし、財務内容の良い先への販売を増やすことで収益を最大化する」という目的の観点からするとどのような感じがしますか?

上野さん:そうですね。なんか線でつながっていない感じがします。モヤモヤしてきました

コーチ :上野さん、何かここにヒントがあるかもしれませんね。では、達成の為の手段を考えましょう。現在、手元にある武器やスキル、この分野においての強みは何だと思われていますか?

上野さん:そうですね。回収の仕事を3年間やってきたことです。いざとなったときの回収が大変なのはよく知っています。問題債権の回収に時間を使っていると本来の業務が出来なくなります。ですから、誰よりも取引先の審査が重要なのは分かっていると思うんです。それが強みじゃないかと思うのですが・・・

コーチ :なるほど。では、上野さん、繰り返しの質問になりますが、もし、上野さんがお客さんの立場だったら、この「貸し倒れを減らし、財務内容の良い先への販売を増やすことで収益を最大化する」という目的についてどう考えますか?

上野さん:そうですね・・・貸し倒れを減らして、財務内容の良い先への販売を増やせば利益が出ることくらいは言われなくても分かっていると思います。普段から意識しているとは限りませんけど。ただ正面切ってそう言われても、「そんなの知っている」と反発してしまいそうです。実際そういうお客さんも多いです

コーチ :もし上野さんから情報を買うとしたら、お客さんはどのような状況なのでしょうか?

上野さん:そうですね・・・不良債権の回収で苦労した経験があるので、情報を買う価値が理解できているのでしょうか。でも、そんな経験のあるお客さんばかりではないですからね

コーチ :不良債権の回収で苦労した経験があると買ってくれそうなのですね

上野さん:そうですね。あ、でも、不良債権の回収の経験がなくても、その大変さを具体的に話せば興味を持って・・・あ、そうか!

コーチ :何か気づいたようですね

上野さん:今まで商品の説明をしっかりすることに重点をおいていましたが、それよりも商品を売る本当の目的をお客さんにまず理解してもらうことの方が、大事のような気がします。つまり、不良債券の回収の大変さについて自分の経験を話すことで臨場感のある説明が出来るかもしれません

コーチ :いいですね。上野さんの強みも活かすことが出来ますね。上野さん、具体的に不良債券回収の大変さについてどのようにお話をされますか?

上野さん:不良債権回収の苦労話をいくつか紙に書いてまとめてみます。紙でも配布できるように固有名詞が出ないような工夫をしてみます

コーチ :楽しそうですね!やる気を感じますよ。それでは次回のセッションでそれを見せてもらえますか?改めて見直すことでさらに気づくことがあるかもしれません

 

 

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