目的を確認することは、コーチングにおいてとても重要なステップです。目的を明確にせずに目標を設定しても無駄な努力をする可能性を高めるだけです。
目的の確認方法
目的を明確にせずに目標だけを設定するということをやってしまいがちですが、これでは主体性を高く維持することが難しく長期的には機能しづらくなります。
人生における目的を確認することは簡単ではありません。本当の目的を探る為には、クライアント自身を知ることから始めなければなりません。ヒントとなるのはクライアントの価値観です。
生まれてから20歳くらいまでの経験を元に、価値観が形成されて固まっていくという話があります。一方で、人は親や周囲の期待に応えようとしたり、道徳観を植え付けられることで自分本来の価値観というものを心の中にしまい込んでしまいます。取り出しにくくなってしまうのです。「あなたの価値観は何ですか?」という質問に迷わずに即答できる人はほとんどいません。
「自分らしさとは何か?」
「本当に大事にしている考えは何か?」
「イキイキしている自分は何をしているか?」
「譲れないものは何か?」
いろんな質問から価値観を見出していきます。
「強い怒りを感じるのはどんな時か?」
「非常に嫌な思いをしたのは?」
といった質問から逆説的に価値観を見出していくことも有効です。焦らずじっくりとクライアントに考えてもらいましょう。
価値観が見えてきたらそれを満たす目的を明確にして言語化します。10年後、あるいは20年後にこんな人になっているといった具合です。具体的であることが望ましいですが、言語化できていて方向性が明確であれば問題ありません。
「60歳で定年をどんな形で迎えたいですか?」
「死ぬ直前はどうなっていたいですか?」といった質問も有効です。
「できたらいいな」という単なる憧れの目的や「しなければならない」という他人に押しつけられた目的にならないような配慮が必要です。「できたらいいな(でも・・・)」というのは、自分でできないと信じている証拠です。「しなければならない」ものは、きっとやりたくないものでしょう。クライアントの価値観に沿い、達成したときを想像してワクワクするもの、絶対に「やりたいもの」が本当の目的となります。
目的を引き出す質問
目的を引き出す質問としては以下のようなものがあります。
強み・弱みを探る質問:
「得意なことはなんですか?」
「苦手なことはなんですか?」
価値観を探る質問:
「一番大切にしていることはなんですか?」
「時間を忘れて取り組んだことはなんですか?」
「今まで一番嫌だったことはなんですか?」
夢を探る質問:
「将来(あるいは10年後)、どんな生活をしたいと望んでいますか?」
「夢がすべて叶うとしたら、どんな人生を生きますか?」
「人生で後悔することがあるとしたらどんなことですか?」
本当の目的を探るコツとしては、一往復の質疑応答に留まらず、「それはなんの為ですか?」という質問を繰り返し続けることです。本人も自覚していなかった本当の目的が見えてきます。
「夢がすべて叶うとしたら、どんな人生を生きますか?」→「お金持ちになりたいです」
→「それはなんの為ですか?」→「何でも好きなものを買う為です」
→「それはなんの為ですか?」→「心の余裕を持って生きる為です」
→「それはなんの為ですか?」→「家族と明るい家庭を築く為です」
目的を探るフレームワーク
目的を探るのに有効なフレームワークを1つご紹介します。
4つの段階で考えてもらうものです。シンプルですがかなり効果の高いフレームワークです。
Step1: 過去 × 自分
過去に自分が夢中になれたこと、一生懸命できたこと、人に自慢できることはなんですか?
Step2: 過去 × 周囲
過去においては周囲の人はあなたの行動をどのように見ていましたか?あなたの性格はどうとらえられていましたか?
Step3: 未来 × 周囲
未来において周囲の人はあなたに何を期待していますか?どう思われるのがいいと思いますか?
Step4: 未来 × 自分
Step1~3を通じて考えた場合、あなたが実践したいことはなんですか?どうなりたいと思いますか?
沈黙を恐れず、焦らずゆっくりと考えてもらいましょう。1回のセッションで終わらせる必要もありません。
効果的なコーチングを行うにあたり本当の目的を確認する作業はとてもとても重要です。
コメント