コーチングの工程・流れ

今回はコーチングの工程・流れについてお話しします。

 

 

コーチング・セッションの構成

一般にコーチングのセッション(面談)は、10回程度を1クールとして、週1回~隔週(2週間に一回)程度の頻度で行われます。週1回の頻度だと1クールは2ヵ月半、隔週だと5か月程度の期間になります。

もちろんこれは目安で、クライアントとコーチの都合や取り扱うテーマによって柔軟に対応します。場合によっては毎日5~10分行うコーチングというのもあります。

 

一般にコーチングは以下のようなステップを踏んでいきます。

(1)プレコーチング

(2)テーマの確認

(3)目的の明確化

(4)ゴールと目標の設定

(5)現状確認とギャップの明確化

(6)目標達成手段の検討

(7)行動計画の策定・実行・検証

(8)成果評価

 

(1)プレコーチング:第1回目のセッション

まずは、コーチングに至った経緯と動機を確認します。自分から望んでコーチングを受ける人、第三者に勧められた人、会社の人材育成プログラムの一環で受動的に受けようとしている人など、様々なケースが考えられます。

どのようなケースであっても、コーチングとはどういうものか、つまり、コーチングが「クライアントの目標達成を支援するプロセスである」ということを最初にしっかり理解してもらうことは非常に大切です。

また、「コーチングの主人公はクライアント自身である」ということを理解し、クライアントが主体的に取り組まなければコーチングはうまく機能しません。義務としてやらされているような主体性の低い状態が続くのであれば、コーチングがマイナスに働くことも考えられます。少なくとも「騙されたと思ってコーチングを利用してやろう」くらいの主体性は持っていてもらいたいものです。

「コーチングのメリットは何だと思いますか?」「コーチングのデメリットは何だと思いますか?」といった質問でコーチング自体について真剣に考えてもらうことは、クライアントの主体性を高めるのに有効です。

 

次にプレコーチングではお互いの自己紹介を行います。お互いを知り信頼関係を構築する大事なステップです。その後、コーチングのステップ、スケジュール、コーチングの手段(対面、Web、電話)などを確認し合います。

 

(2)テーマの確認:第1回目~2回目のセッション(目安)

 コーチングで何について話をするかという取り扱いたいテーマを確認します。「営業成績を伸ばしたい」「対人関係を改善したい」「マネージメント能力を向上させたい」といったことです。クライアントがテーマを明確に持っていることもあれば、そうでないこともあります。会社の育成プログラムによるコーチングの場合、会社からテーマが与えられることもあります。ストレートに「コーチングの中で取り扱いたいテーマは何ですか?」と聞きましょう。

必ずしもセッションの中でのみテーマを決める必要はありません。次回のセッションまでにクライアントに考えておいてもらうことも可能です。

次のステップである目的を明確にする中でテーマが決まってくることもあります。ステップの順番にこだわらずに柔軟に考えましょう。

 

(3)目的の明確化:第2回目~第3回目のセッション(目安)

目的とは、達成するべきものや求める概念です。なぜ目標を達成したいのか、それを達成することによってどういう状態になることを期待しているのかについて、イメージ化と言語化をします。目的を明確にすることで、人は自然と主体的に動くようになります。

マラソンで例えると、完走し終えた後に達成感を味わうことや、皆との楽しい食事会で幸せな気分に浸るといったものが目的となります。走ること自体や完走することは、ほとんどの場合が目的に到達するまでの手段や目標であり目的そのものではありません。

目的の明確化については、後でもう少し詳しくお話しします。

 

(4)ゴールと目標の設定:第2回目~第3回目のセッション(目安)

目的が確認できたら、その目的が達成できたことを示すゴール(最終目標)とそこに至るまでのマイルストーンとしての目標を設定していきます。

ゴールや目標としては客観的に理解できるものが必要です。そうでなければ、そのゴールや目標に到達したかどうかがわからなくなってしまいます。具体的かつ定量的なゴール、目標を設定しましょう。

目標が最初から明確な場合は、いきなりこのステップからスタートすることもあります。それでも、その目的についてはしっかりとコーチとクライアントとの間で確認しておくべきでしょう。クライアントの主体性を高めることになります。また、目的を確認することで、結果的に目標が変わるということもありえます。

目的、ゴール、目標がなかなか固まらないこともありますし、途中で変わることもあり得ます。焦らずじっくり考えてもらいましょう。クライアントが本当に達成したい目的、ゴール、目標を設定できるかどうかが、コーチングの成否に大きく影響してきます。また、クライアントにじっくり考えてもらうことで主体性が高まっていきます。

 

(5)現状確認とギャップの明確化:第2回目~第4回目のセッション(目安)

現在の状態について詳細を確認し、ゴールや目標とのギャップを明確にします。「ゴールを達成した時点が10点とすると、今は何点ですか?」「足りているものは何ですか?」「足りていないものは何ですか?」といった質問で具体化を図ります。

 

(6)目標達成手段の検討:第2回目~第4回目のセッション(目安)

ギャップを埋める為の手段を考えていきます。「目標達成の為にどんな知識やスキルが必要ですか?」「どうすればそれが身に付きますか?」「誰に助けてもらいますか?」「何も制限が無いとしたら、何ができますか?」といった質問を通じてじっくり考えを巡らせてもらいます。

 

(7)行動計画の策定・実行・検証:(目安)第3回目~第9回目のセッション

PDCAサイクルでいうところの計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)になります。目標達成の手段を行動計画に落とし込みスケジュール化します。「いつやりますか?」という問いで、時間軸を明確にしましょう。

 行動計画が定まった以降のセッションでは、この行動計画に沿って実行(Do)を振り返り検証(Check)して、必要に応じた修正(Act)を行います。これを各セッションで繰り返します。

上手くいかなかった場合は、その原因を探り修正に活かします。このとき「なぜできなかったのですか?」というWhyを使った質問をすると、クライアントは責められた気になり、無意識に自己防衛として言い訳を始めがちです。言い訳は誰の役にも立ちません。原因を探る場合には主語をあなた(You)にせず、「何が原因だったのでしょう?」のような表現の方が良いでしょう。

原因を確認するだけではなく、「どうすればうまくいきそうですか?」といった未来志向、目的志向の質問をすることで計画の修正がしやすくなります。

 

(8)成果評価:第10回目のセッション(目安)

1クールが終了した時点で最初の時点からどれだけ進展があったかの評価を行います。ここで目標設定の定量化が意味を持ちます。目標が達成できたのかどうかはもちろん、何が良かったのか、何が良くなかったのかをきっちりと言語化し、しっかりと振り返ることが重要です。

目標達成に関する評価も大事ですが、コーチング自体についても振り返りをしましょう。「コーチングで得られたことは何か?」あるいは「どういう点が良かったか(悪かったか)?」をコーチとクライアント間で話し合います。

両者の合意があれば、次の目標に向けて次のクールに進みます。

 

以上が大まかなコーチング・セッションの流れになります。

 

如何でしょう。コーチングとは、「目標達成を支援するプロセス」だということがご理解頂けたでしょうか?実際は体感してみないと深い理解は得られないかもしれません。百聞は一見にしかずですね。

 

 

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