聴く(傾聴する)

今回は、聴く(傾聴する)というのがテーマです。

 

 

聴く(傾聴する)

以前、コーチングにおける会話手法において、一般にコーチが活用するスキルのうち基本となる5つについてお話をしました。「聴く(傾聴する)」「質問する」「承認する」「フィードバックする」「提案する」の5つです。

何故、聴くことがコーチングで大事なのでしょうか?

コーチングにおいて聴くことの目的は大きく3つあります。

(1)信頼関係を築く

(2)クライアントの状況をクリアにする

(3)行動を促す

順番に説明して行きましょう。

 

(1)信頼関係を築く

クライアントの話を聴くことでクライアントに対する理解が進みます。人は自分を理解してくれる人に信頼を寄せるものです。信頼を寄せればクライアントはもっと話がし易くなり、更にコーチのクライアントに対する理解が進みます。こういった正のスパイラルを築いていくというのが理想です。

 

(2)クライアントの状況をクリアにする

話を細部まで聴いていくと、クライアントが自分の矛盾に気づいたり、理解が浅かったことに気づいたりすることがあります。「もう少し詳しく聞かせてください」「どうしてそう思うのですか?」「具体的に何があったのですか?」といった質問が伴うことでクライアントがさらに細部に言及し易くなります。

 

また、意外に思う方もいらっしゃるかと思いますが、人は話して初めて自分が内面で思っていたことをしっかり認識できることが多々あります。人と話をしてすっきりした、あるいはひらめいたという経験は誰にでもあるかと思います。これは特に解決策をもらった訳では無く、自分の深層心理に気づいたり、自分の思考がまとまることによるものがほとんどです。

 

少し話がそれますが、紙に文字を書いて行うセルフコーチングをやってみると良く分かります。やり方は簡単で、今抱えている悩みや解決したい問題を紙に書き出して自問自答してみるのです。「このモヤモヤ感の原因は?」「上手く伝わらないのは何故?」「どうすれば良いプレゼンが出来る?」といったことを紙に書き、短時間で思いつくままに回答してみます。意外に自分の頭の中に答えが沢山あることに気づきます。

 

(3)行動を促す

人は話を聴いてもらえないと居場所がないという違和感や孤独感を感じてしまいます。逆に人に話を聴いてもらうだけで、何の解決策をもらわなくても人は居場所を感じ安心感を覚えます。さらに自己表現やチャンレンジといった前向きの感情、自己効力感という感情を高めることになります。自己効力感が高まれば、人は目標に向かってどんどん自発的に行動することになるのです。

 

自己効力感とは、「自分は目標を達成できる」「できそう」という自信です。これにより積極的に行動に移せるようになります。自己効力感に似た言葉で自己肯定感というものがあり、こちらの方が良く耳にするかも知れません。自己肯定感は「自分には価値がある」という信念のようなものです。自己肯定感が高い人でも自己効力感の低い状態になることはあります。「自分には実力があるのに、達成できそうにない。ついてないな。」といった感じです。

 

このようにしっかり聴くことで、クライアントとの信頼関係を築き、クライアントの状況をクリアにし、行動を促すことができます。まさにコーチングの基本中の基本と言えると思いますし、これが本当にしっかりできるだけでコーチとして十分な役割を果たせると言っても過言ではありません。是非、「自分は普段人の話をしっかり聴いているだろうか?」というセルフチェックから始めてみてください。聴く力を鍛える練習になります。

 

どうすれば、上手く聴くことができるのか、そして、聴く為の話をどうすればクライアントから引き出すことが出来るのかについては、別の回(それぞれ、上手く聴く方法話を引き出す方法)でご紹介します。

 

 

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